(そんなに要らない)付属品をお付けします…





              おまけ喜劇
『不眠夜』













 弥勒の呟きを珊瑚はきちんと聞き取り、頷いた。
「そうだね。そろそろ寝ないと、明日に響く。」
 でも最後に、と言いながら、法師の腕の中の子狐を覗きむ。
「……可愛い。」
くすくすと笑いながら、先程弥勒がしたのと同じように、そっとそのふくよかな頬をつついた。幼子特有の柔らかさと張りがなんとも言えず可愛くて、しばらくの間そうしたままでいる。
「なんなら、抱いて寝ます?」
「ううん。多分七宝、今日は法師さまと一緒に寝たかったんだろうから。」
何故そんなことが分かるんだろうと少し思ったが、特に反論する理由もなくてそうですかと返した。
 というより、今現在であれば珊瑚の頭がほんの数mmの隙間もあけないすぐ側にあることのほうが問題である。
「……あの、」
「さって。そろそろ寝よっかな。」
そのことについてツッコむ前に、珊瑚はそう言い放った。なんとなく残念なような気分を抱きながらも、そうですねと請け合う。そして、珊瑚は立ち上がろうとした――…はず、だった。

「え゛?」
「あ゛?」

 二人同時に声を上げ、ちょうど自分たちの中間をじっと凝視する。

 珊瑚の、紅白の小袖の襟元。
 弥勒の、濃紫の袈裟の胸元。

 二つを、しっかりとそれぞれの手に握り締め。
 決して放さず、七宝が寝息を立てていた。



 「…っわあああ!?ちょっ、七宝!!放っ……」
「…無駄です。寝こけてます。」
普段の調子なら喜び勇みそうな弥勒も、少し忌々しそうに言う。
「う、うそっ…やだ、外さないと、この手っ…」
「はい。お願いですから…その、せめてその胸元……」
へ、と間の抜けた声を出しつつ自分の胸元を見てみれば、…掴まれていたというのに立ち上がろうとしたため、大きく肌蹴てかなり危ないところまで肌が見えていた。
 「……っわ゛――――!!」
慌ててしゃがみ直し、七宝の腕の長さにあわせて屈んでやっと着物は直った。が、しかし。
「……。」
「……近い。」
 そう、弥勒との距離が、近すぎた。


 長―――い沈黙ののち、やっと珊瑚が、
「…あ、あの……これ、」
と言いかけたところで、
「たっだいま――!!あのねっ、ママがすんごい美味しいって話題のケーキ屋さんからケーキ買ってきてくれたの!嬉しくって早めに帰ってきちゃったー、犬夜叉がいるって便利vすぐ追いつけるとこにいてくれて助かったよ弥勒さま珊瑚ちゃ……ん゛!?」
元気良く森から出てきたものの、そこにあった光景にかごめは一瞬にして固まった。
 珊瑚がうつむいているものの、距離はかなり近く、どう見てもキス寸前。


 ―――しまっったぁぁぁッ!!!



 「…ごめんっ!ごめんね珊瑚ちゃん弥勒さまっ…お邪魔しましたー!!」
 あああああっ、あたしのバカバカよりにもよってあんな重要っぽいとこで!と、かごめは内心いろんな後悔をしまくっていた。一方珊瑚と弥勒はかごめとはまったく別の思いで色々後悔したり慌てたりしている。
「っきゃ――!!!違う違うのかごめちゃんちょっと待ってコレを見て――!!」
「かごめさまかごめさまっ、ちゃんと見てくださいホラこれ七宝っ!!」
ぶんぶんと手を振ってなんとかかごめを呼び止め、口早に説明をする。そうしてやっとかごめもなーんだ・と納得をした。犬夜叉にいたっては元よりどうでもいいこととして平然としていたので何もない。
 「…起きるの待つしかないよねえ…七宝、一度寝るとなかなか起きないし。」
ふう、とため息をつきながら言う珊瑚に、かごめはまるで当然とでも言うような口調で言い放った。

「いいじゃないの、三人でそろって寝れば?」





 たっぷり一分の沈黙ののち、珊瑚の叫び声が辺りに木霊した。


































 夜の濃い闇の中、聞こえるのはパチパチと薪の爆ぜる音。
 そして、お世辞にも微かなどとは言えない人々の喧騒。





















 ちょっと冗談やめてよかごめちゃんいいじゃないの何かするわけじゃあるまいし隣にあたしも犬夜叉もいるんだから大丈夫よそうですよ珊瑚私とて別に色気違いなわけではないんですからこらちょっとアンタこっちが下手に動けないのいい事に何近づいてんのこのっ……。











 キリのない喧騒は、きっと空が白み始めるまで続くのだろう。

 赤目の猫又と赤い衣の半妖だけが冷めた目でそのさまを見つめ、子狐は朝日が昇るまでは何も知らずに眠るのだろう。









 そんななんでもないような、静かで静かでだけど静かでなくなった、夜のお話。














                                 -----------------------End.
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 どっかで漏らしたような気もしますが、私は普段、弥珊+七宝で親子っぽいもの・というのはあまり好きではありません; なんででしょうね。弥珊がちょっとしたことでもすぐ所帯じみちゃいやすいカップリングで、親子ネタは特にその気が強いからでしょうか(笑) しかしこのネタを考えたほんの一時、何故かそれが別にいやじゃなくて、なんか無性に書きたくなってしまったのです。多分、七宝の語り部分にそれなりにテーマを作ることが出来たからだと思います。。なので、七宝の台詞だけは気に入っております…弥勒はなんか全体的に悟りきった90代前のおじいちゃんみたいでなんかイヤです(酷ぇ)

 後半はオマケ。ていうか多分やっぱり前半部分で耐え切れなくなったんだと…(汗) やっぱ中毒です。弥珊中毒(キモい中毒だなオイ)